サブスクが主流になったこの時代、CDは過去の産物となりつつある。
スマホで好きな曲をいくらでもお手軽に聴けるサブスクはたしかに便利だが、だからこそレコードの素晴らしさにも気付きやすくなったと思う。
ある調査によると、1年間のレコードの売り上げが、CDの売り上げを抜いたとか。
レコード再評価の時代がやってきたと言える。
私も中学生の頃にレコードの素晴らしさと愛おしさに気付き、それから現在に至るまで、趣味としてレコード収集を行っている。
そこで今回は、Michael Ochsの『1000 Record Covers』という本を紹介する。
『1000 Record Covers』とは
Michael Ochsによって発売された、名盤レコードジャケットを1000枚掲載した本。
というより、もはや図鑑。
1950年代から1990年代までの海外のレコードが掲載されている。
日本語に翻訳はされていないので、全ページ英語で表記されているが、ジャケットとレコードの情報を楽しむ程度なら学生でも理解できる・・・と思う。
レコジャケの画像と、その下にはそのレコードのタイトルとアーティスト名、リリースされた年月が記載されている。
また、デザイナーの名前も記載されているのが嬉しいポイント。
気になったデザイナーの名前をそのまま調べてしまうことも可能だ。
おすすめポイント
パラパラめくってるだけで楽しい
名盤を寄せ集めているらしいので、知識がある方は「あー、これね!」と楽しめるかもしれないが、そこまで知らないという方は全然知らないレコードばかりだと思う。
僕もそれほど知識があるわけではないので、知らないものが大半だったが、だからこそ知っているものがあるとかなりテンションが上がった。
また、読んでいくうえで、奇抜なものや革新的なデザインのものを見つけるとなかなか興味深い。
新たな発見につながる
知らないものでも、気になって調べてみると意外な事実を知れたり、また、収録曲を聴いてみたらピッタリ好みに合っていて大好きになったなんてことがよくあった。
また、自分の好きなアーティストとの関連性みたいなものを知った時の興奮は凄まじかったという点も特筆すべき点だ。
「この曲からサンプリングしてたんだ!」とか、「このアーティストの影響を受けてたんだ!」とか。
これが最高に楽しくてたまらない。
「え!? こんなポップなデザインのジャケットなのに、静かなジャズの曲が入ってるの!?」という楽しみ方もあった。
時代と共に遷ろうレコジャケデザインが顕著に見て取れる
1950年代のBingCrosbyなどから始まり、60年代、Beatles等ロックンロールが頭角を現し始める。
その後もカントリー・ミュージックやジャズは永続的に人気を維持し、80年代にはU2などが登場。
やがて90年代へ。oasis、nirvanaなどへと続く。
レコジャケだけでなく、ページを繰ることで音楽の変遷を学ぶこともできるのがこの本の最大の魅力である。
画集・写真集としての「読む美術館」的価値
音楽に興味が無かったり、ジャケットのデザインにのみ注目したい方も楽しめる。
歴史的なアートがたくさん掲載されているので、芸術作品としての鑑賞の仕方もぜひおすすめしたい。
たとえば、かの有名なThe Rolling Stonesの「Sticky Fingers」。
ジーンズの写真に、本物のジッパーが付けられたもの。
当時としても現在としてもかなり革新的だ。
収録数の豊富さと質の高さ
全然飽きない。
さすが名ジャケット集というだけあって、どれも目を引いてずっと見てられる。
楽しくてついどんどんページをめくってしまう。
そもそもの収録数が多いというのもある。
国語辞典くらいの厚さがあるのだ。
そりゃ飽きないわな!
おわりに
小説のように物語があるわけではないので隙間時間にパッと読めるといった利点がある。
また、活字を読むのが苦手という方も存分に楽しむことができる書籍なので、ぜひレコードやデザインが好きな方におすすめしたい一冊だ。
コメント