どうもでございます。
ばすてい(@morosaredo)です。
最近なんだかカバーアルバムがアツい気がしています。歌謡やシティポップを若いミュージシャンがカバーしているのをよく見かけるようになりました。
大人たちは再発見し、若い世代は初めて出会い…。年代など関係なしに、優れた音楽はいつまでも色褪せることなく輝き続け、人々を魅了し続けるのです。
かく言う私も現在高校生であるため、ほとんどの曲が私が生まれる以前に発表されたものであり、少し遠いところにあるように感じざるを得ないというのも事実です。
その曲が生まれるに至った時代的な背景や当時の人々が持っていた感覚と、現代の若者の間には乖離があり、どうしても壁を感じてしまうんですよね。
その壁を壊し、距離を縮めることができるのがカバーなのではないでしょうか。
優れたカバーとは、「曲の持つ魅力を、ミュージシャンが自分の魅力を使って最大限に引き出すこと」だと勝手に考えております。
そしてそれを集めてカバーアルバムという形にすることもあるわけですが、これってかなり難しいんでしょうね。
ごちゃごちゃさせないために多少の統一感を持たせるなどして完成度を高めつつ、セールスのことも気にしなくてはならない。
前置きが長くなりましたが、今回はそんなカバーアルバムの中から、「これは名盤」というものを8枚選んでみました。
「名盤」という言葉を使うのは正直かなり悩みましたが、「カバーアルバムの中での名盤」ということでよろしくお願い致します。
ちょっとアルバム至上主義的な考え方かもしれませんが、カバーアルバムは”通常のオリジナルアルバムで名盤と言われるもの”とは違ったカテゴリーに属するものだと思います。
カバーアルバムの名盤8選
選出の基準は「売上」と「評判(完成度と話題性)」です。ある程度売れたもので、完成度が高く話題になったもの。
『ROMANCE』/宮本浩次
リリース : 2020年11月18日
収録曲 :
- あなた (小坂明子)
- 異邦人 (久保田早紀)
- 二人でお酒を (梓みちよ)
- 化粧 (中島みゆき)
- ロマンス (岩崎宏美)
- 赤いスイートピー (松田聖子)
- 木綿のハンカチーフ-ROMANCE mix- (太田裕美)
- 喝采 (ちあきなおみ)
- ジョニィへの伝言 (髙橋真梨子)
- 白いパラソル (松田聖子)
- 恋人がサンタクロース (松任谷由実)
- First Love (宇多田ヒカル)
まずは何と言ってもこれでしょう。ここ最近リリースされたカバーアルバムの中だとダントツで売れ、ダントツで評価が高い宮本浩次『ROMANCE』。
エレファントカシマシの宮本浩次が2019年から始めたソロ活動、2作目のアルバム。
「全曲、オリジナルが女性歌手の曲である」といった点や「エレカシ宮本浩次のカバーアルバム」であるといった点から、発売前から話題になり、すぐにオリコン1位を獲得。
また、その完成度の高さも世間から評価され、2020年に芸術選奨文部科学大臣賞(大衆芸能部門)を受賞。
このアルバムが出ると知ったとき、「あのロックな男 宮本浩次が女性の歌をカバー…? どうなるんだ」と思ったことを覚えています。みんな思ったんじゃないでしょうか。
まさかこんな形になるとは。凄すぎます。完全に自分のモノにしつつ、しっかりと原曲へのリスペクトも感じられる、素晴らしい一枚になっています。
『Longtime Favorites』/竹内まりや
リリース : 2003年10月29日
収録曲 :
- 悲しき片想い[YOU DON’T KNOW] (ヘレン・シャピロ)
- なみだの16才[IT HURTS TO BE SIXTEEN] (アンドレア・キャロル)
- ボーイ・ハント[WHERE THE BOYS ARE] (コニー・フランシス)
- そよ風にのって[DANS LE MEME WAGON] (マージョリー・ノエル)
- 夢みる想い[NON HO L’ETA] (ジリオラ・チンクエッティ)
- 悲しきあしおと[FOOTSTEPS] (スティーヴ・ローレンス)
- ウォーク・ライト・バック[WALK RIGHT BACK] (エヴァリー・ブラザーズ)
- 恋する瞳[L’AMORE HA I TUOI OCCHI] (伊東ゆかり)
- ジョニー・エンジェル[JOHNNY ANGEL] (シェリー・フェブレー)
- 砂に消えた涙[UN BUCO NELLA SABBIA] (ミーナ)
- いそしぎ[THE SHADOW OF YOUR SMILE]
- 風のささやき[THE WINDMILLS OF YOUR MIND]
- 恋のひとこと[SOMETHING STUPID] (フランク・シナトラ & ナンシー・シナトラ)
- この世の果てまで[THE END OF THE WORLD] (スキーター・デイヴィス)
ネット上に『Longtime Favorites』に関する公式の音源や映像が一切なかったため、関係ないですがライブDVDのPVを載せます
時代を越えて国内外から愛されるミュージシャン、竹内まりやが、2003年にリリースしたカバーアルバム『Longtime Favorites』。オリコン1位を獲得。
竹内まりやの音楽のルーツである、1960年代のアメリカ・イギリス・イタリア・フランスの楽曲をカバーして収録。
さすがの器量で、曲を自らの世界観で表現することに成功しています。
見どころ(聴きどころ)は超豪華なデュエット。7曲目「ウォーク・ライト・バック[WALK RIGHT BACK]」では夫である山下達郎と共にデュエット。サウンドも二人の声も非常に心地良く感じる、小気味良い曲になっています。
そして何より、13曲目「恋のひとこと[SOMETHING STUPID]」では、大瀧詠一と初のデュエット。有名な話ではありますが、これが大瀧詠一の歌手生活最後の歌声となりました。
竹内まりや、山下達郎、大瀧詠一、そして関連するナイアガラ系のファンでまだ未聴の方は聴いてみてはいかがでしょうか。
それ以外の方も、非常に完成度の高いアルバムですので、ご購入されてみてはいかがでしょう。
『沿志奏逢3』 /Bank Band
リリース : 2010年6月30日
収録曲 :
- ハートビート (GOING UNDER GROUND)
- ステップ! (RCサクセション)
- 若者のすべて (フジファブリック)
- 慕情 (サザンオールスターズ)
- 明日のために靴を磨こう (ヒートウェイヴ)
- 緑の街 (小田和正)
- 月夜のハイウェイドライブ (仲井戸麗市)
- Drifter (キリンジ)
- 有心論 (RADWIMPS)
- Reborn (Syrup 16g)
- 奏逢 〜Bank Bandのテーマ〜
Mr.Childrenの櫻井和寿の別バンドBank Bandがリリースするカバーアルバム『沿志奏逢』の3作目、『沿志奏逢3』。
1から3まである中で今回は3を選びましたが、どれも素晴らしいため特に3が優れているというわけでもありません。
幅広い年代の曲が収録されているという点で、たくさんの人が馴染みやすいかなと思って3を選んでみました。
ただ、私としては、『沿志奏逢』というプロジェクトそのものを選出したイメージです。
タイトルは「志に沿い、出逢いを奏でる」と書いて「そうしそうあい」と読む。これは櫻井の中で「相思相愛」という言葉が浮かび、それを当て字にしたもの。櫻井は「自分が聴いてきたアーティストの志を引き継いで、そのアーティストを聴いたことがなかった世代とも繋がっていけたらという、そんな思いから浮かんだのが、この言葉でした」と語っている。
『沿志奏逢』Wikipediaより引用
魅力的なのは、やはりミスチルの櫻井さんの声で名曲が聴けるという点ですね。
『沿志奏逢』シリーズの特徴として、初代『沿志奏逢』では櫻井さんが影響を受けた曲が中心にカバーされており、『沿志奏逢2』ではそれに加えて同世代の曲+オリジナル曲、『沿志奏逢3』は自分より若い世代の曲をメインとしています。
先日、これらをまとめた集大成とも言えるベスト盤『沿志奏逢4』も発売されました。
『「福山エンヂニヤリング」サウンドトラック The Golden Oldies』 /福山雅治
リリース : 2002年6月26日
収録曲 :
- 青春の影 (チューリップ)
- ファイト! (中島みゆき)
- 飾りじゃないのよ涙は (井上陽水or中森明菜)
- 秋桜 (山口百恵)
- ルビーの指環 (寺尾聰)
- 雨のバス (花田裕之)
- ラスト・ダンスは私に (越路吹雪)
- お嫁においで (加山雄三)
- プカプカ (ザ・ディランII)
- ケンとメリー〜愛と風のように〜 (BUZZ)
- 勝手にしやがれ (沢田研二)
- ロックンロールの真最中 (サンハウス)
- 浅草キッド (ビートたけし)
- おでこにキッス (遠藤賢司)
- タイムマシンにおねがい (サディスティック・ミカ・バンド)
- そして僕は途方に暮れる (大沢誉志幸)
映像など一切ございませんでしたので、福山雅治公式YouTubeチャンネルの紹介動画を載せます……
思えば、私が初めて古い歌に触れたのはこのアルバムのおかげでした……。だから選んだというのも2割程度ありますが、きちんと評価基準に則って選出いたしましたよ、ええ。
週間オリコンチャート2位、累計売上枚数は50万枚以上を記録。『「福山エンヂニヤリング」サウンドトラック The Golden Oldies』。
選曲がかなり良い。福山雅治本人が選んだのかはよくわかりませんが、声や雰囲気と曲がマッチしています。
ギター1本で熱く歌う「ファイト!」、寂しげなムードの漂う「秋桜」、楽しくハワイアンな「お嫁においで」など、聴いていて飽きない曲の数々。
幼稚園児だった私が楽しめたのも、この選曲が理由かもしれません。
7曲目以降はすべて一発録り。スタジオライブの形式で録音されています。非常に完成度の高い一枚。
『VOCALIST』 /徳永英明
リリース : 2005年9月14日
収録曲 :
- 時代 (中島みゆき)
- ハナミズキ (一青窈)
- 駅 (中森明菜)
- 異邦人 (久保田早紀)
- シルエット・ロマンス (大橋純子)
- LOVE LOVE LOVE (DREAMS COME TRUE)
- 秋桜 (山口百恵)
- 涙そうそう (夏川りみ)
- オリビアを聴きながら (杏里)
- ダンスはうまく踊れない (石川セリ)
- 会いたい (沢田知可子)
- 翼をください (赤い鳥)
- 卒業写真 (ハイ・ファイ・セット)
こちらも、小さい頃に散々聴いたアルバムです。
徳永英明はカバーもやっぱりスゴイということを世間に知らしめたアルバム『VOCALIST』。「ハナミズキ」や「時代」は今でもよくテレビやラジオで流れている印象です。
先ほど挙げた『ROMANCE』同様、原曲は全て女性ボーカルの曲。徳永英明のちょっと高めのハスキーボイスが心地良いです。
このアルバムはとんでもなく大ヒットし、オリコンアルバムチャートで100週連続ランクイン、その後カヴァーアルバム初のチャート200週連続ランクインを突破。
日本ゴールドディスク大賞『企画アルバム・オブ・ザ・イヤー』を受賞し、自身の代表アルバムのひとつとなりました。
『HELP EVER HURT COVER』 /藤井風
リリース : 2021年05月20日
収録曲 :
- Close To You (Carpenters)
- Shape of You (Ed Sheeran)
- Back Stabbers (The O’Jays)
- Alfie (Cher)
- Be Alright (Ariana Grande)
- Beat It (Michael Jackson)
- Don’t Let Me Be Misunderstood (The Animals)
- My Eyes Adored You (Frankie Valli)
- Shake It Off (Taylor Swift)
- Stronger Than Me (Amy Winehouse)
- Time After Time (Sarah Vaughan)
今最も注目すべき新人ミュージシャンと言っても過言ではない、稀代の才能の持ち主藤井風のカバーアルバム『HELP EVER HURT COVER』。全曲ピアノ弾き語り。
Sarah VaughanからEd Sheeranまで、かなり幅広い年代の洋楽曲が収録されています。
幼少の頃からYouTubeでピアノの弾き語り動画をアップし続けてきたことでも有名な藤井風。
今までの活動で磨いた実力を遺憾なく発揮しており、これが一つの到達点とも言えるかもしれません。
『歌姫』 /中森明菜
リリース : 1994年3月24日
収録曲 :
- ダンスはうまく踊れない (石川セリ)
- 愛染橋 (山口百恵)
- 片想い (中尾ミエor槇みちる)
- 思秋期 (岩崎宏美)
- 逢いたくて逢いたくて (園まり)
- 終着駅 (奥村チヨ)
- 魔法の鏡 (荒井由実)
- 生きがい (由紀さおり)
- 私は風 (カルメン・マキ & OZ)
中森明菜のキャリアで初めてリリースされたカバーアルバム『歌姫』。オリコン週間チャート4位獲得。13週連続ランクインを達成しました。
流石に歌めっちゃうまいです。この時代の歌手はとにかく表現力がハイレベルすぎますね。歌詞の主人公を憑依させて、主人公が辿ってきた人生を伝えるみたいな、もはや一つの演劇のようにも感じてしまうほどです。
最近は一部の若い世代の間で昭和時代のアイドルに注目が集まっていますので、あえて昭和歌手のカバーで昭和の時代を知る、というのも良いのかもしれませんね。
そういえば、私のクラスメイトのLINEアイコン画像が中森明菜の「スローモーション」のジャケットだったこともありました。
『ぷらいべえと』 /吉田拓郎
リリース : 1977年4月25日
収録曲 :
- 夜霧よ今夜もありがとう (石原裕次郎)
- 恋の歌 (吉田拓郎)
- 春になれば (小坂一也)
- ルームライト (由紀さおり)
- いつか街で会ったなら (中村雅俊)
- 歌ってよ夕陽の歌を (森山良子)
- やさしい悪魔 (キャンディーズ)
- くちなしの花 (渡哲也)
- 赤い燈台 (小柳ルミ子)
- 悲しくてやりきれない (ザ・フォーク・クルセダーズ)
- よろしく哀愁 (郷ひろみ)
- メランコリー (梓みちよ)
- あゝ青春 (トランザム)
こちらも映像や音源ありませんでしたため、ライブ映像を掲載……
他ミュージシャンに提供した曲のセルフカバーが多いので他と少し毛色が違いますが、カバーアルバムの先駆けと言われているこのアルバムを挙げないわけにはいかないでしょう。
吉田拓郎『ぷらいべえと』。オリコン週間チャート1位を獲得。年間チャートだと23位を獲得しました。
このアルバム、当時は評論家から物凄い批判を受けたそうで、「創作力のダウン」とか、「売らんかな主義」とか、散々言われたそうです。
しかしこのアルバムが日本のカバーアルバムの礎となり、起点となったということは間違いありません。早すぎて時代が追い付かなかったというやつですかね。
それでも良い物はやっぱり良い物。当時でも、たくさんのリスナーが満足して聴いていたみたいですね。
まとめ
どうでしょうかね。結局、かなり主観的な結果になってしまった気もしております…。まぁブログ的な感じで楽しんでいただければと思います。
しかし、ここに挙げているのはどれも良いアルバムですので、未聴のモノがある方はぜひ聴かれてみてはいかがでしょう!
という感じでございましょうか。ではまた。
宮本浩次のめっちゃよかった