皆様いかがお過ごしでしょうか。
東京事変のレコードを予約できなかったことをずっと悔やんでいるばすてい(@morosaredo)です。
買おうかなー、どうしよっかなー、なんて悩んでいたら、一週間もしないうちに”取り扱い終了”。どのサイトを見ても、予約ができない状態になっていました。
こういうのはやはり、勢いが大切ですね。迷ったらすぐに買わないと、一生定価で手に入れることが出来なくなってしまいます。
とは言ってもですね、最近少しレコードを買いすぎているので、”節約した”と思えば何とか悲しみによる手の震えを抑えることができます。
さて、そんあいhfdtyd
さぁ、しょうもない茶番はここまでにしまして、今回は山下達郎のアルバム『ARTISAN -30th Anniversary Edition-』のご紹介です。
数年前から行われている、山下達郎のリマスター盤発売ですが、今回は1991年発売『ARTISAN』の発売30周年を記念して、CD、LPの2形態で2021年8月17日にリリース。
収録曲は以下の通り。
- アトムの子
- さよなら夏の日
- ターナーの汽罐車 –Turner’s Steamroller–
- 片想い
- Tokyo’s A Lonely Town
- 飛遊人 –Human–
- Splendor
- Mighty Smile(魔法の微笑み)
- “Queen Of Hype”Blues
- Endless Game
- Groovin’
「アトムの子」や「さよなら夏の日」、「ターナーの汽罐車 –Turner’s Steamroller–」など、名曲がたくさん収録されており、ファンの中でも人気が非常に高い傑作アルバムのひとつです。
【CD盤】
CD盤には、ボーナストラックが曲収録されている点も見逃せません(アナログ盤には未収録なので、これらはCDでしか聴けません)。
また、山下達郎の楽曲のほとんど全てはストリーミング配信がされていませんので、「配信で聴こっと」ということができません。CDを買うほか聴くすべはないのです。
買いましょう!
【アナログレコード(LP)盤】
なんと『ARTISAN』は今回が初のアナログ盤発売! CDでしかリリースされていなかったんですね。もちろん音源は最新のリマスター処理が施されていますので、非常にクリアーで迫力があります。
180gの重量盤仕様ですので、安定した回転・再生が可能。音も良いわけです。
買いましょう!
『ARTISAN』開封!
さて、というわけでこちらがその『ARTISAN -30th Anniversary Edition-』。
レコードはやはり大きなジャケットを楽しめて良いですね。
先ほどからARTISAN、ARTISANと何度も言っていますが、ARTISANというのは“職人”という意味。このアルバムがリリースされた1991年当時、山下達郎は“反文化人音楽”を念頭に置いてアルバム制作を行っていました。
芸術家気取りのミュージシャンが増え、自称”アーティスト”がはびこる時代に真っ向から対立する姿勢をとっていた山下達郎は、アルバム『ARTISAN』(意味 : 職人)をリリース。
「アーティスト(芸術家)ではなく、アルチザン(職人)であり続ける」という宣言と捉えても良いのかもしれません。
以降、山下達郎は、その音楽作りに対する姿勢や並々ならぬこだわりから、“音の職人”と呼ばれるようになるわけです。
そんな背景を持つこの『ARTISAN』。まさかレコード盤をお目にかかれる日が来るとは。
『ARTISAN』からレコード盤の発売がなくなったのはどうしてだろうという話
これ以前の作品も、もしかしてレコードとして発売してくれたりするのでしょうか。だとしたら非常にありがたいですね。
にしても、どうして『ARTISAN』からレコード盤の発売をやめてしまったのでしょうか。今作の一つ前の作品(ライブアルバム)『JOY –TATSURO YAMASHITA LIVE–』まではレコードとCDの2形態で発売していましたが、『ARTISAN』からはCDのみの発売となりました(次作『COZY』のみ、初回限定でアナログ盤が発売されました)。
しかし、2011年発売の山下達郎通算13作目のオリジナルアルバム(2021年8月現在の最新アルバム)『Ray Of Hope』では、LP盤も併せて発売されました。
考えられる理由として、一つは需要の問題、もう一つはデジタルレコーディングの問題といったところでしょうか。
『ARTISAN』が発売された1991年、大衆はレコードからCDへと完全移行したのでしょう。
レコードしかなかった時代に彗星のごとく現れたCD。人々は完全に目移りしてしまったのではないでしょうか。
ポータブルCDプレイヤーを使えば、手軽に音楽を外に持ち出せる。傷やカビを気にしなくても良い、その扱いの容易さ。そして何より、プチプチという雑音が聴こえないクリアーな音。
そのころにはもう、人々はレコードではなくCDを手に取る時代になったのだと聞いております(その時代に私は生まれておりませんので、当時を生きていた世代の方に取材をしてそういったお話を伺いました)。
そしてもう一つは、デジタル機器によるレコーディングに移行したという点。
この時期はちょうどアナログ機器からデジタル機器へ過渡期だったようで、山下達郎はこのアナログ→デジタルの移行にかなり苦労したようです。
今までの音の作り方とは全く異なったプロセスであることに戸惑い、アナログ機器で楽曲制作を継続しようと試みるも結局断念。
2つ前のオリジナルアルバム『POCKET MUSIC』から、デジタル機器を導入して音楽を作るようになります。
その後、前作『僕の中の少年』をリリース。この時には、納得のいくデジタル機材を見つけることができており、苦労しながらもなんとかリリースにこぎ着けたようです。
そして今作『ARTISAN』は完全にデジタル機器に移行。安定したレコーディングを行ったということなのでしょう。
“デジタルで録音したものをCDというデジタル形態でリリースし、アナログ盤でのリリースはしない。みんなCDしか買わないし”と、そういったことなのではないでしょうか。
その後、2011年にがアナログ盤も同時発売されたのは、昨今のアナログレコードブームびよる需要の増加によるものだったのではないかと予想しています。
音楽知識のない素人が考えただけなので、的外れなことを言っている可能性も充分にあるのですが、こんな感じな気がします。
[追記]
なんてことを考えていたのですが、先日山下達郎さん本人がラジオで「レコードの時代じゃなくなったから」と仰っていました。
レコードジャケットを見ていく!
長々と語ってしまいましたが、いよいよ本体を見ていきますよ。
まずはアルバムジャケットから。
イラストを手掛けたのは、ロサンジェルスの画家アンドレ・ミリポルスキー。『JOY –TATSURO YAMASHITA LIVE–』のジャケットもこの方が手がけました。
他にも、エルトン・ジョンの衣装をデザインしたり、チープトリックのアルバムジャケットを手掛ける等、かなり有名な画家の方のようです。
さて、まず目を引くのがこの鮮やかな色使いと、万華鏡を覗いたかのような不思議なイラスト。
中央の黒い正方形の中にギターを持った男性がいるのはわかりますが、その外が全然わからない。
やはりあれですね。アートってこういうことなんでしょうね。
何かはわからないけど、完成された芸術作品として腑に落ちてしまう。
そして何より、“山下達郎の『ARTISAN』というアルバムのジャケットである”という事実が妙にしっくりくる。
奥の深いポップミュージックを多数収録し、こだわりにこだわりぬいた楽曲が連なる、完成されたまさに職人の手による作品であるという事実がジャケットからもわかるような気がします。
また、右下のシールに書かれている通り、初回盤にはプレゼントキャンペーンの応募用紙が封入されているようです。追って詳しくご紹介いたします。
裏面はこのようなデザイン。
開いてみると・・・。
中にも絵画が掲載されています。
右にある小さな文字は、アルバム制作に関わったスタッフの名前。
1991年のCD発売時に関わったスタッフと、今回の2021年盤の制作にかかわったスタッフ、両方が記されています。
ライナーノーツ。山下達郎本人による解説が書かれています。
楽曲、アルバムについて詳しく説明が書かれています。
どういったことが書かれていたかはここではご紹介できませんが、ファンは必見の内容でした。
こちらがレコード盤。
さすがは重量盤。重いです。
2枚組ですので、ひとつの面に2~3曲が収録されています。
MOON RECORDSのラベルがクールです。
プレゼントキャンペーンもある!
こちらが先述した、キャンペーン応募チラシ。
早期購入者限定で、プレゼントキャンペーンに応募することができるのです。
そのプレゼントというのが、非売品の7インチシングルレコード。
A面に「さよなら夏の日」、B面に「Endless Game」を収録したこのレコードは、200枚の限定生産で、超絶レアなわけです。
CD、LPのいずれかを購入すれば応募することができます。
200人しか手に入れることのできない、物凄く価値のある盤なのです。
もちろん僕も応募しました。
当たってくれ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
気になるその音は
初のレコード化で、さらには重量盤。極めつけは、最新の技術によるリマスタリング。どれだけ音が良くなっているのか、気になるところです。
ただ、正直のところ、オリジナルのCDとの違いは、いまいちわからないだろうと予想しています。特段優れた耳を持っているわけではないので、劇的な変化がない限り私にはわからないでしょう。
とはいえ、レコードです。レコード特有の音の温かさ、ハイファイな音質を楽しむことはもちろんできるので、問題なし!
早速針を落として再生してみます!
残念なのは、皆様にはこの音をお届けすることができないということです。私が一人でカメラを前にして楽しむしかないのです。
というわけで、フルでアルバムを聞いてみましたが、レコード特有の心地良さが存分に感じられました。
ラジオで山下達郎さんが「『TOKYO’S A LONELY TOWN』のようなウォールオブサウンド的な曲はレコードだと、CDと少し違って聴こえて面白いと思います」と仰っていましたが、なるほどたしかに、レコードの面白味が享受できる楽曲だと感じました。
これはかなり良かったです。
買ってよかったと思える素晴らしいレコードでした。
以上、『ARTISAN (30th Anniversary Edition)』のレビューでございました。
動画版もありますので、実際の映像はこちらでご確認いただければ幸いです!
【CD盤】
【アナログレコード(LP)盤】