どうもでございます。
ばすてい(@morosaredo)です。
みなさんは普段どんな音楽を聴いていますか?
「いま日本で流行っている曲」をAppleMusicで見てみると、様々な種類の音楽が人気を博していることがわかります。
Ado「唱」のようなEDM調の曲や、YOASOBI「アイドル」のようなヒップホップ調の曲、キタニタツヤ「青のすみか」のような爽やかなロック曲、Vaundy「怪獣の花歌」のようなどストレートなポップス曲……。
人それぞれ、好きなジャンルというものがあると思います。
私はフォークや歌謡が好きで、朝から晩までアコギの音を聴くような生活をしています。名盤と言われているアルバムを中学生の頃に数枚聴いて感激し、どっぷりのめりこむようになったのです。
最近では、ワゴンセールで売られている数百円のアルバムを買い漁ることが日課になっています。
そんな音楽漬けの毎日を送る私ですが、一方でラップやレゲエなどといった他のジャンルに関してはほとんど知識がなく、何から聴けばいいのやらという状態です。
そこで今回は、邦楽の主要ジャンル20種類の名盤アルバムをそれぞれ聴いてみたいと思います!
普段よく聴いている「フォーク」なども入れていますので、何か再発見することがあるのではと期待しています。
「自分には一生縁がないと思っていた」「聴いたことないけどなんとなく毛嫌いしていた」、そんなジャンルが誰しも一つはあるのではないでしょうか。
未踏のジャンルに足を踏み入れるのは大変なことですが、この記事でそのお手伝いが出来たらと思います。
ポップス(J-pop)
『First Love』宇多田ヒカル
1999年リリース。累積売上は765万枚にのぼり、日本国内のアルバムセールス歴代1位を記録した。弱冠15歳にして作り上げた日本ポップス史の金字塔として名高い。
1曲目の「Automatic -Album Edit-」を再生した瞬間、完全に作品の世界に引き込まれました。全体を通して根底にR&Bがあり、それを高度な技術でJ-popにまとめているような印象です。
個人的に、このアルバムにおけるいちばんの見どころはサウンドのカッコ良さだと感じました。とにかくお洒落すぎる。
“お洒落”という感覚って結構早いサイクルで移り変わっていくものですが、このアルバムは20年以上経った今でも抜群にかっこいいです。2000年以降の日本音楽が向かう方向を決定づけた一枚ということがよくわかる作品でした。
ロック
『風街ろまん』はっぴいえんど
1971年リリース。当時は日本独自のロックがほとんどなく、ロックは英語で歌うことが当たり前だった時代。のちに日本音楽界の重鎮となる大瀧詠一、細野晴臣、松本隆、鈴木茂が若かりし頃にリリースしたのが本作。彼らの目標は「バンドサウンドにうまく日本語を乗せて日本のロックを作ること」。そして彼らはこのアルバムで、見事に彼らなりの日本語ロックを完成させた。日本ロック史に輝く名盤。
全体に漂うけだるい空気感が心地よい一枚。
1曲目の「抱きしめたい」と2曲目の「空いろのくれよん」で作品の空気感をつかんだところで、このアルバムのメインディッシュともいえる名曲「風をあつめて」。
細野晴臣さんの低い声と松本隆さんが描き出すセピア色の街の情景が交わって、独特の爽やかさが生まれています。
そして「暗闇坂むささび変化」といった楽しい曲へ続き、今度はかっこいい「はいからはくち」。しっかりと全体の統一感があって、ばらばらとした印象は受けません。”風街”というコンセプトと、音の使い方のうまさがその理由だと感じました。
演歌
『敬天愛人~幕末青春グラフィティ~』尾形大作
1988年リリース。全曲作詞:星野哲郎、全曲作曲:浜口庫之助。幕末の偉人10名を曲にしてまとめたコンセプトアルバムであり、第30回日本レコード大賞の企画賞を受賞。
演歌はシングル中心の文化であり、アルバムは基本的にシングル曲を集めただけのものである。オリジナルアルバムというものはほとんどなく、基本がベストアルバムなのである。そんななか、音楽好きのコミュニティにおいて「演歌の名盤」と囁かれている本作を発見した。現在廃盤になっており、中古CDの価格が数万円にまでのぼっている。レアなので見つけたら買おう。今回どうやって聴いたのかは秘密だよ(ヒント : YouTube)。
新選組や攘夷派など、新政府と戦った人たちがセレクトされています。
ポップスやロックでは絶対に表現できない、演歌ならではの”渋み”が志士たちの侍魂を表現しています。明治という新しい時代を迎えるにあたり、より良い国にするために命をかけて戦う彼らの熱い思いが全体にたぎっており、情熱に溢れた熱いアルバムになっています。
各人の個性や人生が歌詞に表されているのが特徴です。どの曲も決戦前夜のような熱意と緊張感が全面に出てきており、彼らの意思が痛いほどに伝わってくるアルバムでした。
アイドル
『年下の男の子』キャンディーズ
1975年リリース。「春一番」「年下の男の子」といった時代を代表する曲が収録されている。表題曲「年下の男の子」は累計50万枚以上のセールスを記録しており、同曲で紅白歌合戦への出場も果たした。解散宣言の際に発した「普通の女の子に戻りたい!!」というセリフは当時の流行語にもなり、日本アイドル史に刻まれている。
ちょこちょこした可愛らしい曲を中心に構成されていますが、全体的にバラエティに富んだ作品。
1曲目「春一番」はいかにも歌謡曲的で時代を感じますが、「です・ます」調の歌詞が軽快なビートに乗せられる様は相当かっこいい。現代の若者にも普通に受け入れられる曲だと思います。
7曲目「くちづけのあと」はスローテンポのしっとりとした曲。キスをした少女が、くちびるに残る感覚を感じながら大人に近づいたことを感じる、青春の甘酸っぱい曲。このアルバム内でいちばん衝撃を受けた曲です。なんと言っても歌詞が凄い。少女の心の揺らめきみたいなものが物凄い解像度で描かれています。そして伊藤蘭さんがそれを完璧に歌で表してます。
エレクトロニカ(電子音楽)
『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』イエロー・マジック・オーケストラ
1979年リリース。のちに日本音楽界の巨匠となる細野晴臣や坂本龍一、高橋幸宏らによるテクノグループ、通称YMOの2ndアルバム。累計販売数は100万枚を超え、YMOはこの作品で日本中にテクノブームを巻き起こすこととなる。
1曲目「TECHNOPOLIS」から身震いがするほどのカッコ良さ。クラシック音楽のような壮大さとシンセサイザーのクールさが混ざり合い、電子の海を宇宙船で突き進んでいるようなイメージが頭に浮かびました。
昂りまくった神経を、軽快なポップスの2曲目「ABSOLUTE EGO DANCE」で落ち着かせ、”いいアルバムだなぁ”なんて思っていたらすぐさま「RYDEEN」の登場でまた神経が昂り炸裂しました。
私はずっと頭の中で物語を作って楽しんでいました。先述したような宇宙船の冒険物語で、「TECHNOPOLIS」がオープニング、「ABSOLUTE EGO DANCE」は冒険BGM、「RYDEEN」が戦闘BGMで、「CASTALIA」が惑星到着時のBGM……。
基本的に歌詞が無いので、自分だけの物語のサントラとしても楽しめますね。
ラップ・ヒップホップ
『空からの力』キングギドラ
1995年リリース。Kダブシャイン、Zeebra、DJ OASISからなるヒップホップグループ”キングギドラ”の1stアルバム。数多のミュージシャン、ラッパーに影響を与えた本作は、「日本語ラップの教科書」とまで呼ばれることがある。
私はラップやヒップホップをほとんどまったく聴かないんですけど、これは完全に新たな自分を見つけましたね。超かっこいいです。
全体的にメロウな空気感の漂うサウンドで、作品の世界観が確立されています。1曲目「未確認飛行物体接近中(急接近MIX)」はサウンドの特性を活かして、不可思議な未確認物体が接近している“緊張感と警戒心”が表現されているように感じました。
それと印象深かったのが11曲目の「スタア誕生」。小さい頃からスターになることを夢見てきた少女が上京し、怪しいスカウトマンに騙されて崩壊していく様子がラップで淡々と綴られます。歌詞というより文章に近いので、内容が一層入ってきやすく感情移入してしまいすごく落ち込みました。すごい曲です。
あと、これでもかというくらい韻を踏んでいてそこもかっこいい。
R&B(リズム・アンド・ブルース)
『Mother Father Brother Sister』MISIA
1998年リリース。MISIAの1stアルバム。累計販売数は200万枚超え。大ヒット曲「つつみ込むように…」をしており、1999年から始まるR&B歌姫ブームの火付け役となった。
黒人音楽を源流に持つR&B。その後、長い時間をかけて独自の変化を遂げました。日本人の作り上げる“和製R&B”のなかでも特に人気の本作。
まぁもう、言葉にするのもおこがましいですが、とにかく歌が上手い。MISIAさんのグルーヴィーでソウルフルな歌声が最高です。オトナな感じで落ち着いた印象はありますが、つい足でリズムをとってしまいます。
12曲目の「星の降る丘」はバラード調の曲であり、綺麗な歌声が映える一曲。深夜ひとりで車を運転しているときにラジオから流れてきたら、たぶんひとすじの涙が落ちるでしょう。
歌謡
『加山雄三のすべて~ザ・ランチャーズとともに』加山雄三
1966年リリース。当時、ミュージシャンは作詞家と作曲家から提供された曲を歌うことが仕事であり、自身で曲を作るということはメジャーでなかった。そんなときに現れた、「日本初のシンガーソングライター」とも言われる加山雄三の1stアルバム。名曲「君といつまでも」収録。
エレキギターブームが日本中で大爆発する寸前の1966年初頭にリリースされた本作。
加山雄三さんの曲と、加山雄三さんのバックバンド”ランチャーズ”曲がほぼ交互に収録されており、60年代のエレキギターサウンドを存分に感じられます。古臭いと感じる人もいるかもしれませんが、私はこの時代のベンチャーズ的な乾いたエレキサウンドは一周回って現代でも人気になると思います。
印象深かったのは4曲目「海の上の少年」。歌詞は、荒れ狂う海を眺める海の男が、海の哀しみを感じ取るという内容。加山雄三の太く穏やかな歌声が痺れる。
そして11曲目「夜空の星」。かっこいい……。絶対、現代の若者の間でリバイバルヒットすると思うんですけども、どうでしょう。
プログレッシブ・ロック(プログレ)
『一触即発』四人囃子
1974年リリース。日本プログレ最初期の作品であり、日本ロック史の金字塔として燦然と輝いている。
プログレは、1960年代後半にイギリスで誕生したロックの発展形。プログレロックの特徴として、Wikipediaにはこう記載されている。
■一部のバンドはアルバム全体を一つの作品とする概念(コンセプト・アルバム)も制作した
■大作・長尺主義傾向にある長時間の曲
■演奏技術重視で、インストゥルメンタルの楽曲も多い
■技巧的で複雑に構成された楽曲(変拍子・転調などの多用)
■クラシック音楽やジャズ、あるいは現代音楽との融合を試みたものも多く、演奏技術を必要とする
シンセサイザーやメロトロンなどといった、当時の最新テクノロジーを使用した楽器の積極的使用
私があまりピンと来ていないジャンルです。プログレ。色々聴いてみたのですが、どうもハマらない。ボーナストラックの「空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ」は昔から好きなのですが、肝心のメイン収録曲は聴いてもなぜかスルスルっと頭から出て行ってしまう。全然集中してないってことですね。一曲が長いからでしょうか。
で、今回久しぶりに本作を通しで聴いたわけですが、大好き!とまではいかないまでも、良さはなんとなくわかりました……! サウンドの力強さと唸るエレキギターがなんとも言い難い中毒性みたいなものを孕んでいるような感じです。
11分にも及ぶ長大曲「おまつり (やっぱりおまつりのある街へ行ったら泣いてしまった)」は曲中で何度も変化を繰り返し、テンポが速くなったり、ゆっくりになったりして、”ここ好きだな”と感じる箇所がいくつかありました。考えてみたらそもそも長い曲の楽しみ方ってそういうものなのかもしれないですね。
フォーク
『ごあいさつ』高田渡
1971年リリース。自作の曲に谷川俊太郎や山之口貘の現代詩を乗せるという独自の曲作りを展開したメジャーデビューアルバム。日本の音楽史に名を残した名盤。
1曲目から最高なんですよね。「ごあいさつ」という27秒の短い曲です。どうも、と挨拶をしているわけですが、何を言ってるのかまったく理解できません。なんかテキトーに喋ってない?という感じがしますが、それが高田渡さんのキャラクターに合っていて、クスリと笑えてしまいます。
全曲大好きなんですけど、今回改めて聴いてみると3曲目の「年輪・歯車」がいい曲だなぁと感じました。“人生って、(きっと)そうだよなぁ”と、しみじみしながら考えてしまいました。
アコギ一本だからこそ、言葉の意味がストレートに入って来るし、考える余裕みたいなものが生まれる気がします。
ニューミュージック
『人間なんて』吉田拓郎(当時 : よしだたくろう)
1971年リリース。フォークと歌謡の垣根をなくし、融合させていった第一人者である吉田拓郎の2ndアルバム。吉田拓郎を筆頭とする若者たちが、海外のロックやポップスのエッセンスを歌謡の世界に持ち込んで生まれたのがニューミュージックとされている。また吉田拓郎は、メロディーに対して字余りな歌詞を乗せるという画期的なスタイルを一般化した。これも、それまでの邦楽と違う「ニューミュージック」にしかない特徴と言える。本作は、次作『元気です。』でシンガーソングライター史上初のオリコン1位を獲得する前夜の作品。
表題曲にして1曲目の「人間なんて」。フェードインしてくるアコギの力強いフレーズに、吉田拓郎さんのどこか投げやりな”人間なんてラララ……”の歌が乗っかります。なんか、ギターをかき鳴らしながら斜め下を見ているような、そんな姿が浮かびました。自分の心の奥底にある漠然とした不安や、形容しがたいモヤモヤを吐き出している感じがします。
いちばん好きなのは「自殺の詩」。直接的なタイトルですが、歌詞はとても抽象的で、タイトルを知らなければただのブルーな心情を歌った曲と思うかもしれません。やっぱり私は、こういう美しさのある歌詞が好きです。この曲は以前から知っていましたが、改めて聞き直すと、すごく詩的で感傷的です。メモ帳に鉛筆で書き留めたみたいな、リアルさと謙虚さを感じる言葉が妙な温かみを持っており、そこから生活の美しさを感じます。あれ、これってもしかして遺書なのか?
シティポップ
『A LONG VACATION』大滝詠一
1981年リリース。はっぴいえんど解散後、独自にポップス研究を続けてきた大滝詠一がついに大ヒットを飛ばした作品。ポップス史の金字塔として名高い。日本独自のジャンルとして、近年国内外から高い注目を集めているジャンル”シティポップ”の代表格がこのロンバケである。
最高です。個人的に、このアルバムを超える邦楽ポップスアルバムは一生出ないんじゃないかと、そんなことさえ思っています(音楽に”超える”とかないのにね)。
曲はもちろん、歌詞、ジャケットイラスト、サウンド、すべてが完成されていて、気付くとイラストの世界に入り込んでいます。
やっぱりなんと言っても1曲目の「君は天然色」ですよね。極上のポップスです。一度聴いたら頭から離れないキャッチーなメロディーと、松本隆さんが実体験をもとにして書いた明るいながらもどこか影のある詞。
このアルバムは本当にもう脳が解けるくらい何度も聴いてます。「君は天然色」にハマる時期があり、それが終わると「我が心のピンボール」、その次は「Velvet Motel」というような感じで、永遠に個人的ブームを繰り返しています。
たぶんロンバケの中でいちばん聴いている回数が少ない曲は「雨のウェンズデイ」だと思います。大好きな曲ではあるのですが、ロンバケを聴きたいときの気分とはちょっと雰囲気が違う曲なので、聴く機会が少ないのだと思います。ただ改めて通しで聴くと、やっぱり最高なんですねこれが。収録曲の中だと地味めな曲ではあるのですが、これはオトナな深みゆえのものですね。私も大人になれたということでしょうかね。
ハードロック
『THUNDER IN THE EAST』LOUDNESS
1985年リリース。第27回日本レコード大賞優秀アルバム賞受賞。同バンドは本作でアメリカ進出を果たし、日本人ロックバンド史上初のビルボードTOP100への連続チャートインを果たした。LOUDNESSはその後の日本ロック界に多大な影響を与えており、稲葉浩志(B’z)、X JAPAN、﨑山龍男(スピッツ)などがファンであると公言している。
ハイ、新しい自分見つけました。ハードロックって普段まったく聴かないんですけど、完全にハマりました。かっこよすぎかい!
1曲目「CRAZY NIGHTS」から飛ばしてて最高です。歪んだギターにドラムが入った瞬間、心臓をズドンズドンと殴られているようなエネルギーを感じました。破壊衝動が沸き上がってきます。リズムに合わせてパソコンのモニターをぶん殴りたいですね。
そして2曲目「LIKE HELL」のイントロがまたかっこいい。耳に残るリフですね。普段こういうことはあんまり思わないんですけど、この曲は汗をだらだら流しながらでっかいアリーナで腕を振りながら聴きたいです。“LIKE HELL!!”って叫びたいです。
そして最後の曲、10曲目「NEVER CHANGE YOUR MIND」。これもイントロが素晴らしい。すごい綺麗なアルペジオが印象的です。中盤のアルペジオからギターソロへの流れはめちゃくちゃ気持ちいいです。
パンクロック
『THE BLUE HEARTS』THE BLUE HEARTS
1987年リリース。伝説のバンド、THE BLUE HEARTSの1stアルバム。甲本ヒロト、真島昌利の文学的でメッセージ性のある歌詞とシンプルなメロディーが強烈なインパクトを残した。誰もが一度は耳にしたことがあるであろう名曲「リンダリンダ」収録。
言わずもがな。言わずもがなのかっこよさ。この記事、”かっこいい”ばっか言ってますね。
このシンプルさがいいんですよね。余計な装飾は一切なし、裸のロックバンドの音を聴け!みたいな、魂の力強さが甲本ヒロトさんの歌声とバンドの演奏から伝わってきます。
久しぶりに聴いたのですが、4曲目「パンク・ロック」がすごい良い曲だということに気付きました。自分はパンクロックが好きだ、とずっと言ってるだけの歌詞。こんな愚直な歌が他にありますでしょうか。素敵です。
アニメ(アニソン)
『放課後ティータイムⅡ』放課後ティータイム
2010年リリース。同時期に放映されていたテレビアニメ『けいおん!』の劇中歌を収録している。同作品は、女子高生である平沢唯、秋山澪、田井中律、琴吹紬、中野梓(それぞれ声優は豊崎愛生、日笠陽子、佐藤聡美、寿美菜子、竹達彩奈)がバンド”放課後ティータイム”を結成、軽音部として活動し卒業するまでの3年間を描いている。このアルバムは”放課後ティータイム”が制作したという設定。
普段まったく聴かないジャンルです。アニメを全然観ないということもあってか、アニメキャラクターが歌っている曲はどうにもハマらず、敬遠している節があります。ただ別に全部が全部ハマらないというわけでもなく、『のんのんびより』の「おかえり」という曲は初めて聴いたとき感激して泣きそうになりました。その後アニメ本編も観てみましたが、とても面白かったです。
『けいおん!』のアニメは中学生の頃に何話か観たのですが、自分には合わず結局最後までは観ていない状態でした。その後、放課後ティータイムの話を耳にすることは何度かありましたが、進んで聴こうとはしませんでした。日本のアニメ史、そしてアニソン史に大きな変革をもたらしたという伝説のアニメ『けいおん!』に自分はハマることができなかった、ということがショックで、遠ざけていたのかもしれません。今回ついにアルバムを通しで聴いてみました。
えーっとですね、う~ん……
良すぎ!
すごい……最高だよ……!
めっちゃくちゃ上手いガールズバンドがアルバムを作るとこんな感じなんだな、という感じです。
何より、聴いていると文化祭の映像が頭に浮かんでくるんです。作品の空気感が完全に体育館なんです。それを特に顕著に感じたのが3曲目「Honey sweet tea time」。たしかに、女子高生のバンドにしてはあまりにも作詞作曲編曲演奏などクオリティーが高すぎるし歌が上手すぎるしという感じではあるのですが、そんなことよりも何より空気感です。アルバムでいちばん大事なのって、もしかしたら空気感かもしれないなと思いました。
7曲目「冬の日」も好きです。曲作りの幅が広すぎる。ガールズバンドという枠組みの中でこんなに色々表現の仕方があるんですね。
レゲエ(ジャパレゲ)
『Lifetime Respect』三木道三
2001年リリース。三木道三(現: DOZAN11)の1stアルバム。表題曲「Lifetime Respect」のシングルで日本レゲエ史上初のオリコン1位を記録。累計売上は約90万枚を超える。
レゲエも全然聴かないですね。薄々気付いてはいたんですが、私はノれる曲よりも静かにしっとり聴ける曲が好きなので、私の好みの対極にあるような気がしています。レゲエはとにかくノれるジャンルという認識でした。
で、今回聴いてみたわけですが、やはり私の認識は間違っていなかったです。グルーヴ感を楽しむノれる曲が満載なわけですが、これがかっけーんですね。素敵です。
特筆すべきは、やっぱり表題曲の10曲目「Lifetime Respect」。サビの印象的な歌詞で、あーこの曲か!となりました。どことなくJ-pop的要素も感じられて、日本中で大ヒットしたのも頷ける素敵な曲です。
アンビエント(環境音楽)
『Green』吉村弘
1986年リリース。日本アンビエント界の第一人者、吉村弘の作品であり、近年海外を中心に評価が高まっている。アンビエントミュージック(環境音楽)とは、従来の音楽とは異なりメロディーやリズムよりも音色や空気感の演出を楽しむことを目的に制作される音楽のこと。1970年代、シンセサイザーの普及とともに一般化した。
気持ちいい~~~です。アルバムは空気感が大切だと思うと先ほど書きましたが、この作品はまさに空気感最重要視の特化型。他のジャンルとは明らかに別の土俵にあるので、従来の”アルバム観”とは異なる視点で見る必要があるとは思いますが、それでもこれは名盤と言う感じがしますね。
タイトルにある通り、全体のテーマは“Green(緑)“。緑と言ったら、“自然”とか、“心が安らぐ色”というイメージですが、このアルバムはそういったイメージを音で表しています。
環境音楽と言われるとなんとなくとっつきにくい印象を受けますが、表題曲「GREEN」は結構メロディアスで良い曲だなと感じました。
ネット音楽
『愛迷エレジー』DECO*27
2010年リリース。ボーカロイド黎明期から第一線でボカロ界を牽引し続けるDECO27の2ndアルバム。ニコニコ動画で爆発的な人気を獲得した「モザイクロール」「愛迷エレジー」などを収録。ボーカロイドソフトである初音ミクとGUMI(Megpoid)を使用した楽曲のほか、DECO27本人やmarina、とぴがボーカルの曲が織り交ぜて収録されている。
ボカロPの作品です。ネット音楽に疎い私ですが、DECO*27さんのお名前は以前から知っていました。「モザイクロール」「弱虫モンブラン」も聴いたことがあります。今回初めてアルバム通して聴いてみました。
「モザイクロール」はmarinaさんのボーカルバージョンとGUMIさん(ボカロ)のボーカルバージョンがそれぞれ収録されているのですが、どちらも甲乙つけがたい良さがあります。人間の情熱に溢れた歌声はわかりやすいですが、ボーカロイドにはボーカロイドなりの情熱が歌の奥底に感じられるんです。冷酷な言い方をするとボーカロイドは”正確な音程を刻み続ける機械音声”なのですが、そんな機械にも魂の幻影が見えてしまう、そんな力を持った曲でした。
ゲーム
『MOTHER』
1989年リリース。同年に任天堂から発売されたファミリーコンピュータ用RPG「MOTHER」のサウンドトラック。コピーライターの糸井重里がゲームデザインを手掛け、歴史に残る傑作ゲームと名高い。音楽を手掛けるのは1975年結成の重鎮バンド”ムーンライダーズ”の鈴木慶一。ゲームのサウンドトラックらしからぬ、アメリカンポップスのような作品群が世間に衝撃を与えた名盤。本作では劇中BGMに大幅なボーカルアレンジが加えられており、曲を楽しめる作品になっている。
ゲームも全然やらないんですね、私。何して育ったんだよという感じですが。スーパーマリオとどうぶつの森ぐらいしかろくに遊んだことがないため、クリアしたときのエンディングで感動するみたいな経験をしたことがありません。羨ましいです。おすすめのゲームがあったら教えてください。
まずジャケットがかっこいいですね。赤地に金色の文字、”O”が地球になっています。これはゲームソフトの外箱と同じデザインだそうです。
1曲目「POLLYANNA (I BELIEVE IN YOU)」からお洒落すぎます。壮大な冒険の始まりという雰囲気で、随分お洒落な門出です。音の使い方とかにどことなく80年代っぽさが感じられるのも好きです。でも決して古臭くはないのが凄い。
統一感はありつつも空気感が微妙に異なる曲が収録されているので、ゲーム内で色んなステージに行くみたいな感覚をアルバムの中で楽しめました。
そして神秘的な聖歌のような10曲目「EIGHT MELODIES」(サブスクだとなぜか聴けなくなってます)。後ろの2曲はボーナストラック的な立ち位置だと思いますので、この曲が大トリっぽいです。この曲、凄いです。素晴らしいです。何かをやり遂げた感覚になりました。ゲーム本編のエンディング曲なのでしょうか? わかりませんが、クリアしたときにこれが流れてきたら間違いなく涙が出てくると思います。
ジャズ(和ジャズ)
『Scenery』福居良
1976年リリース。2012年にジャズピアニストとして初めて札幌文化奨励賞を受賞した、福居良の1stアルバム。2015年頃、YouTubeにこのアルバムの音源が投稿されたことをきっかけに世界中から注目を集め、再評価の流れが生まれた。Wikipediaによると1200万回以上再生されていたらしい(現在は削除済み)。
繊細ながら大胆みたいな、そういう印象でしょうか。ジャズもこれまたポピュラー音楽とはちょっと違う世界という感じがありますので、うまく言葉にするのは難しいのですが、まぁカッコイイということは間違いありません。
3曲目「Early Summer」。いいですね~カッコイイです。ドラムソロとかがあったりして、なんかライブハウスで聴いているような感覚です。ドラムがどんどん激しくなっていったところでピアノが入り、なんか綺麗に着陸した感じがして”ウェーイ”となりました。
福居良さんは北海道で生まれ育ったそうですが、それを知ってから聴くと、妙に抒情性を感じるというか、情景が浮かびやすくなりました。
以上
さて、というわけで20種類の音楽ジャンルを代表する名盤20枚を聴いてみました。
さすが名盤と言われるだけあって、どれも初心者の入り口としてふさわしい素晴らしい作品でした。
今回は各ジャンルにつき1枚代表を選びましたが、他にも代表選手となるアルバムはたくさんありますので、興味を持ったジャンルを深掘りしてみると楽しいと思います。
私としては、ずっと距離を感じていたラップやハードロックのかっこよさに目覚めることができたのが今回いちばんの収穫でした。私はてっきり綺麗な曲とか静かな曲しか愛せないのだと思っていたのですが、その正反対とも思えるジャカジャカハードロックとかも好きみたいです。この企画をやっていなかったらまず気付けませんでしたね。
という感じです。以上。