どうもでございます。
ばすてい(@morosaredo)です。
早速ですが迷子になりました。
10時入場のチケットを買ったのですが、現在の時刻は10時4分。
これはあれです。
俗に言う、遅刻というやつです。
焦りながら美術館の方向を調べて駅構内を歩きます。
ここでひとまず今回の企画内容をお伝えします。
今日は、1日でたくさんの展覧会を巡ります。
「展覧会巡りなんて柄にもないことをやりおって。熱でも出てるのか?」とお思いの皆様、ご安心ください。平熱です。
私も気付けば18歳。
選挙権も、アダルトコーナーに立ち入る権利も手に入れてしまいました。
今後すぐに、喫煙も飲酒も可能になります(やらんが)。
できることがどんどんと増えていくなかで、私は気付いてしまったのです。
高校生の間にしかできないこともたくさんあるのではないだろうか。
そこで見つけたのがこの「高校生以下、ほとんどの美術館・博物館の入場料無料」事案です。
こいつを乱用しまくれば、レアなものをタダでいっぱい見ることができます。
思い立ったが吉日だ!ということで、現在開催中の展覧会をすぐに検索。
その中から、行きたいと思ったものをピックアップしました。
行きたい展覧会を選んでみた
結果、選んだのがこの4つ。
「川瀬巴水 旅と郷愁の風景」、「タイムトリップ 江戸から東京へ ~資料で綴る千代田の風景~」、「生誕120年 円谷英二展」、そして江戸東京博物館です。
選定するうえで意識したテーマは、「江戸から昭和までの歴史」。
過去に当サイトでもこのテーマの記事を何度もアップしましたが、江戸後期から昭和後期というのは、非常に興味のある時代なわけでございます。
↑以前書いた明治・大正・昭和系の記事
そのためこれらの展覧会・博物館を選んだのですが、結果的に、絵画、歴史、映画(特撮)と、幅広い芸術ジャンルを選ぶことができました。
そしてここで先にお知らせ致しますと、結局時間が足りず江戸東京博物館には行けませんでした。
よって実際に鑑賞できたのはこの3つ。すべて期間限定ですので、今しか見ることができないハイパーレアな展覧会ズです。
入場料や交通費をケチって、普段まったく展覧会に行くことのない私ですが、実は以前から薄っすらと興味はありました。
芸術作品に触れることによって得られる幸福や感動の大きさは計り知れません。
今日は芸術的な刺激と興奮に満ちた一日にします!
見るぞ見るぞ見るぞ!
そして今に至ります。
意気込んで新宿駅まで来たは良いものの、SOMPO美術館の場所がわからず、駅から出ることができません。
勇気を与えてもらいに行くための勇気がなくなってしまいました。
これから一体どうすれば良いのでしょうか。
しかも駅には人が一人としていないし。
しかもGoogleマップの現在地が勝手にムーンウォークみたいな動きするし。
しかも寝坊したせいで既に遅刻してるし!!
寝坊もさりげなく混ぜてみましたが、結局悪いのは私なので仕方がありませんね。
SOMPO美術館を出たら何時の電車に乗るかなど、移動の予定はしっかりと立てていたのですが、どういうわけか出発の時間については一切考えていなかったため、勘で起きて勘で電車に乗ったら入場時間である10時に駅に着いてしまいました。
こんな僕ももうすぐ成人です。
とりあえず歩き出す
どの出口から出れば良いのか皆目見当がつかなかったため、とりあえず適当な所から外に出てみました。
目の前には、摩天楼の如く遥か上空までそびえるビルディング。
都庁でございます。
逆光のせいでマインクラフトの建築物に見えなくもないですが、これが東京都の総本部であり、極めて重要な場所なのであります。
……都庁に目を引かれている場合ではありません。
とにもかくにも、一刻も早くSOMPO美術館に向かわなければならないため、Googleマップを見ながら早歩きをし続けます。
10時入場のため、今行ってももう入れてもらえない可能性もあるのですが、「川瀬巴水展」公式サイトのとある記述によって私はほんの少しの希望を感じていました。
入場時間を30分ごとに区切り、会場内へ入場する人数を制限いたします。
川瀬巴水展公式サイトより引用
これです。
ということは、10時30分までに行けば大丈夫ってことでは?
小学生探偵江戸川コナンに負けず劣らずの名推理により、美術館へとひた走る活力をみなぎらせた私は、メロスさながら人の間を縫うように大都会東京の街を駆けます。
走っている途中、「まぁ最悪間に合わなくても無料だから次の時間で入場すれば…」なんて邪悪なことも考えましたが、勝手にこちらの都合で時間をずらすのは迷惑だと思うので、入場できなかったら諦めようと考えていました。
しかし! 10時28分、ぎりぎり到着。入場することができました。
危なかった~~~~~。
ここからは思う存分、じっくりと気が済むまで鑑賞します。
ではここで、皆様に川瀬巴水並びに川瀬巴水展についてご説明致します。
川瀬巴水とは
川瀬巴水
大正、昭和時代に活躍した浮世絵師、版画家。
浮世絵を近代化した「新版画」を確立した人物として知られています。
日本全国を旅行し、様々な土地の風景を版画作品にしました。
海外で非常に評価が高く、葛飾北斎、歌川広重と並ぶ人気があります。
また、Apple社のスティーブジョブズの芸術的感性は、巴水の絵に多大な影響を受けているということが知られています。
日本では葛飾北斎や歌川広重ほどの知名度はありませんが、海外では3人を合わせて「3H」と称されるなど、物凄く人気の高い画家です。
というように、ご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、川瀬巴水はバチバチにすごい画家なのであります。
「川瀬巴水 旅と郷愁の風景」とは
川瀬巴水 旅と郷愁の風景
開催場所 | SOMPO美術館(東京都新宿区西新宿1-26-1) |
会期 | 2021年10月2日(土)~12月26日(日) |
観覧料 | 一般 :1,300円 大学生 :1,000円 小中高校生:無料 障がい者手帳をお持ちの方:無料 |
公式サイト | 川瀬巴水 旅と郷愁の風景 – SOMPO美術館 |
展覧会では、老若男女たくさんの人が鑑賞にいらしていました。
若い女性から仲睦まじい老夫婦までいらっしゃり、幅広い層から愛されていることがわかりました。
私もそこに混じって、壁にかけられた絵画をじっくりと眺めます。
面白かったポイント
面白かったポイントはこの辺り。
- 線や色遣い、画風の変化
- 版元であり浮世絵商である渡辺庄三郎との関係性
- スティーブジョブズが巴水の作品から受けた影響
- おまけで見ることができたゴッホのひまわり
線や色遣い、画風の変化
生で見ると線や色の特徴を捉えることができ、当時の風景や空気感を生々しいほどに感じることができました。
巴水の最初期の三部作「塩原おかね路」「塩原畑下り」「塩原しほがま」から、絶筆となった作品「平泉金色堂」まで、かなりの数の作品が展示してありました(もしかして現存するもの全部だったりするのかも)。
合間合間に作品制作時の巴水に関する解説パネルがあり、それと共に作品を見進めていくことで、環境、心情の変化による画風の変遷を辿ることができました。
複雑な線はよりシンプルに、少なかった色数は後期には色彩豊かになっていました。
また、スランプの際に朝鮮旅行を行い、そこで異文化に触れることで新境地を開くなど、かなり面白かったです。
版元であり浮世絵商である渡辺庄三郎との関係性
そして、川瀬巴水を語るうえで外すことのできない人物、盟友渡辺庄三郎も非常に魅力的な人物であることがわかりました。
川瀬巴水についてはある程度調べてから行ったので多少の知識があったのですが、渡辺庄三郎はノーマークでした。
巴水とはほとんど家族のような関係で、巴水の版画家人生において最も重要な人物である渡辺庄三郎。当時としては珍しく、仕事中に飲酒をすることもなく、かなり真面目な方だったようです。
そういった、巴水の作品作りの背景や周囲の環境、交友関係をパネル解説で知ることにより、目の前にある作品の真価を理解することができた気がします。
スティーブジョブズが巴水の作品から受けた影響
そしてスティーブジョブズの話。
「巴水とスティーブジョブズ」は一つのコーナーとして設けられており、ジョブズが巴水の作品と出会ったエピソードや、東京で巴水の絵を購入した話など、詳細に記されていました。
スティーブジョブズが巴水の作品に出会ったのは10代の頃。
友人の家に飾られた巴水の絵を見て衝撃を受け、新版画の世界にのめり込んでいきます。
1984年、初代マッキントッシュ(Mac)を発表する際に画面に初めて表示したのが橋口五葉の「髪梳ける女」という新版画作品であったり、晩年、死期が近づいていたとき自室の壁に巴水の絵を掛けていたといったことからもわかる通り、ジョブズと新版画は切っても切れない関係にあるのです。
芸術的とさえ言える、iPhoneやMacのデザイン、UI。
これらの原点は、幼少の頃の巴水作品との邂逅にあったと言えます。
Apple製品の根底にある「シンプルが故の美しさ」というのは、ここからきていたのだということがわかりました。
ガジェット好きとして、非常に興奮しました。
お土産も買いました
鑑賞後、お気に入りの作品のポストカードを買いました。
本当は「吉田の富士晴れ」なども欲しかったのですが、ポストカード化されていませんでした。
だいたい30~40種類だったかと思います。
1枚130円。
他にも、画集やクリアファイル、マスクケースなど様々な商品がありました。
帰宅後、部屋に飾りました
というわけで、展覧会巡りはまず初めにSOMP美術館にて開催の「川瀬巴水 旅と郷愁の風景」に行ってみました。
さて、次は千代田区立日比谷図書文化館にて開催の「タイムトリップ 江戸から東京へ ~資料で綴る千代田の風景~」へと向かいます。
続きの記事の公開をぜひお待ちください!
今回の展覧会巡りは動画版もございます。