どうもでございます。
ばすてい(@morosaredo)です。
日比谷に映画を観に行くついでに、空き時間を利用して都内を散策してみようというこの企画。
池袋駅の大江戸そばから始まり、日本橋、将門塚と周ってきました。
↑前回の「日本橋、将門塚編」はこちら
映画の時間が近づいてきたため、将門塚を離れて日比谷へと向かいました。
日比谷駅で降車し、自動改札を通ろうとすると、ピコーンと音を立て、外に出ることが出来ませんでした。残高はじゅうぶんにあるはずです。東京のど真ん中、人の波の中で焦る私。
Suicaを何度も改札に押し当てますが、一向にゲートは開かず。困り果てた私は、とりあえず窓口の駅員さんに話してみることに。
すみません、なんか改札を通れないです……
Suicaをお借りしてもよろしいですか?
あ、はい
残高を確認する駅員さん。
どこからご乗車されました?
大手町駅です
わかりました。こちらで会計しておきますね。
ピピッと音を立て、Suicaで決済がされました。ありがたやありがたや、という感じでございますね。
では、こちらの切符を使えば出られますので
そう言って手渡されたのがこの切符。なんだこのレア切符は。持って帰りたすぎる。
まぁそうもいかないので泣く泣く自動改札に切符を投入。吸い込まれていくお宝との惜別の別れを味わいながら、しんみりと地上へ登っていきます。
眼前に現れた日比谷公園
のぼりきった先に広がっていたのは、都会のオアシス“日比谷公園”。薄雲った心を一気に晴らしてくれる緑色。
映画まであと約1時間。完全にノープランでしたが、たまたま目の前にあったし映画館も近いしでちょうど良いので日比谷公園を軽く散策してみることに。
誰かの後頭部を眺めつつ、入り口を探して入園。
歴史は古く、開園したのは1903年。100年以上前です。
当時、公園施設というものは存在せず、お寺の境内などを地域の人が憩いの場にすることでなんとなく公園っぽくなっていただけであったそう。
そんな中、日本で初めて公園を作ろうという話になって出来たのがこの日比谷公園。
様々な建築家が案を出し(日本橋編で登場した辰野金吾も設計案を出しています)、時間はかかりましたがついに1903年に開園。
洋風喫茶店や和風喫茶店、結婚式場やレストランが立ち並ぶ、近代化を象徴する広場となりました。
その後、急加速的に日本は発展してゆき、混迷を極める時代に突入。
決起集会(パブリックドメイン画像)
日比谷公園は歴史の中心地として、東京市電賃上げ反対運動や普通選挙運動、日比谷焼打事件が起こるなど、国民が声を上げる際に利用され、憩いの公園から日本にとって重要な場所へと変わっていきました。
関東大震災には被災者の仮設住宅が設置され、遺体の仮埋葬も行われたそうです。
都会のど真ん中、自然豊かなこの公園は、近代化や災害といった日本の歴史と共にあり続けてきたのです。
今、観光でこの場所に立っているということがどれほど幸運なことなのか実感します。
さて、先ほどちらっと書いた洋風喫茶店ですが、まだ名前が変わらずこの地に残っています。
時間もないので食事はしませんが、外観だけ見たいので向かってみることに。
しばらく歩いていると、看板が見えてきました。
絶対あの奥の白い建物だ。
横から見ただけじゃレストランっぽくないですね。どうせなら正面まで回ってじっくり見てみたいと思います。
冷やかしにならないよう慎重に、「へ~すげ~」という顔を心掛けます。
こちらが洋風レストラン松本楼(まつもとろう)。
「さすが歴史のある名店、高そうすぎるぜ」と思ったのですが、
とんでもなく高級というわけではないようで、私のような高校生でもちょっと贅沢なランチタイムとして入れそうな価格でした。
オムライスやパンケーキなど、古き良き純喫茶を思わせるメニュー。良いですね、好物ばかりです。
また、松本楼では毎年9月25日に先着1500名に10円でカレーが振舞われるというのも有名です。
この10円カレーの始まりは、1971年、日比谷公園内で沖縄返還協定反対デモが激化し、園内の松本楼が放火されたことが発端となりました。
その後、全国から再建の願いと寄付金が集まり、営業を再開することが出来たのです。
この感謝の気持ちを返すために、10円でカレーが振舞われると、そういう物語があるわけであります。
この話をつい先日まで知らなかった私が10円でカレーを貪っても良いのかはわかりませんが、ぜひとも行ってみたいです。というか今度行きます。絶対行きます。
そうこうしているうちに、そろそろ映画が始まるので、公園の隣にあるTOHOシネマズ日比谷へ。
映画については割愛しますが、最高でした。
せっかくなので東京駅へ
映画が終わり、ふと窓を観てみると外は夕暮れに。
電車でも見ようと思い立ち、ここから歩いて東京駅へ向かうことにしました。
道中、目の前を走り去って行く新幹線(N700Aという車両)。
このくらいの、薄暗い時間帯の新幹線も良いですね。都会の喧騒を切り裂くように、轟音を立てて通過し行きました。
数分歩いていると、有楽町駅に着きました。
駅の目の前にある東京交通会館という建物に展望台があり、そこから新幹線がよく見えるという情報を得たため、急遽行ってみることに。
こういう感じでした。
ガラスの扉越しにちょっとだけ見れたので良しとしましょう……。
信号の光が白飛びするほど、辺りは暗くなってきました。夜の始まりってワクワクして良いですよね。
歩いているうちに面白いものを発見。
“日本を代表する駅「東京駅」の改札とは思えないちゃっちい出入口”として知られているアーチの出入口。
たしかに。
そしてすぐにレンガ造りの駅舎が見えてきました。やっぱり東京駅と言ったらこれですね。
激ショボ出入口を見た後だと感動が増します。冗談です。
正面に来ました。辰野金吾設計による、明治、そして現在の日本を代表する鉄道駅「東京駅」です。
重要文化財に指定されています。
1914年の開業時には3階建てでしたが、戦災により3階部分が消失。長年2階建てでやってきましたが、2007年に復元工事を開始。
2012年に、開業当時の姿を取り戻しました。
次の100年にも耐えられる駅舎を目指し、当時のデザインと最新の技術を織り交ぜた工事が決行されました。
復元されたドーム部分。白黒写真を解析して着色されたそうです。
一方、よく見てみると、最新の免振技術も取り入れられていることもわかります。
現代の技術を詰め込んだ、未来へのタイムカプセルのような建物とも言えるのかもしれません。
駅舎正面に戻ってきました。この写真は駅舎の目の前、東京駅丸の内駅前広場の様子です。
たくさんの人で賑わっており、多くの人がライトアップされた駅舎の写真を撮影していました。
それでは、軽く駅舎を見て回ってみることにしましょう。
まずはここ。なんだか目についたので近寄ってみると……
なんとも立派な駅長室でした。
明かりがついていますが、中に駅長さんがいらっしゃるのでしょうか。
東京駅の駅長さんって、基本的にかなり偉い方が務められるようで、JRのトップに近い方が就任するそうです。JRの最高職と言われています。
そういった知識は、以前読んだこの本に書いてありました。
高校に友達がほとんどいないため、休み時間はずっと本を読んでいるのです。ここで役立って良かったです。
そしてこちらも非常に貴重な展示。
一見ボロっちいただの壁ですが、これはなんと創建当時のレンガ壁の実物。
駅構内にある「東京ステーションギャラリー」という施設で見ることが出来ます。
入場料が必要ということを入り口で知ったため今回はケチって中には入りませんでしたが、外でもこの写真のようにちょっとだけレンガが見られるようになっています。
KITTEから駅舎と電車を見下ろす
電車と駅舎を一緒に見たい!と考えた私は、付近の展望施設を調べてみました。
このKITTEという施設から見られるそうなので来てみました。
名前からわかる通り、日本郵政が運営しています。日本郵政初の商業施設だそう。
もともとは東京中央郵便局という郵便局であり、さらにその前は四日市郵便役所(日本初の郵便局)だったそうです。
前回の「日本橋、将門塚編」で日本橋郵便局に行きましたが、あそこが最初の四日市郵便役所であり、それが移転してここになったそう。
ちなみに入場料は無料です。ありがとう日本郵政。
様々なお店にわき目もふらずエレベーターに乗り込み、展望台へ行くと……
きっれー
もうそれしか言葉が出ませんでした。明治時代の姿形をした建物が高層ビルの中にたたずんでいる様子は、もはや神秘的とまで言えますね。
あまり知られていませんが、2024年に刷新される新1万円札の裏面には東京駅丸の内駅舎が描かれることになっています。
福沢諭吉から渋沢栄一になるんだ!ということに世間の目が向きすぎて、裏面はまったく注目されていませんね。
そういえば、実は東京駅と渋沢栄一の間には密接な関係があるというのも触れておきたいところ。
渋沢栄一が設立した日本煉瓦製造株式会社の力によって東京駅を建設することが出来たというエピソードがあります。
渋沢栄一も1万円札の中で「私の煉瓦で作った駅じゃないか」とか思っているんじゃないでしょうかね。
その後1時間ほど電車を見て、今回のミニ散歩はおしまい。
撮り鉄とかではないので、ピントぼけぼけ画角ダサダサの写真しか撮れませんでしたが、これもまぁ思い出ってことで。
色々並んでるのも見れました。
以上!
という感じで、一日東京を散策してみました。
普段何気なく暮らしている街も、実は歴史的な価値のある建物に溢れていたり……みたいな、新たなことに気付かせてくれるミニ旅でした。
今まで書いた記事の中で、撮影も執筆も、全部が一番楽しかったです。またやりたいな。
↑明治関連のすごく面白かった本